ヨーロッパのアートハウス系作品からハリウッドのジャンル映画に至るまで、200本以上の映画でその圧倒的な存在感を示したドイツの俳優ウド・キアが81歳で死去した。彼のパートナーが、パームスプリングスでの逝去を認めた。キアは60年にわたるキャリアを築き、アンディ・ウォーホルとの初期のコラボレーションや、悪役や風変わりな役柄での記憶に残る演技を通じて、カルト的な地位を確立した。
キアは、ラース・フォン・トリアー、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ヴェルナー・ヘルツォークといった巨匠たちと頻繁に協働し、その芸術的探求心を示した。特にフォン・トリアー監督作品への参加は、彼のキャリアにおける重要な柱の一つであった。アート系映画の枠を超え、一般の観客はキアを『ブレイド』、『アルマゲドン』、そして『エース・ベンチュラ/ペット・シッター』といった大衆的なヒット作での出演で認識していた。この多才さが、彼が実験的な芸術と商業的な娯楽の間を流動的に移動することを可能にした要因である。
彼の出演作リストは、1970年代のドイツ映画界の重要な動きから現代のインディペンデント映画シーンまでを網羅しており、その幅広さは特筆に値する。キアのキャリアは、単なる出演作の数(200本以上)だけでなく、前衛的な映像作家との協働と、世界的なブロックバスターへの参加という二極性を体現している点にある。
キアの最後のクレジット作品は、2025年のカンヌ国際映画祭で上映された政治スリラー『The Secret Agent』(原題:O Agente Secreto)である。この作品は、クレベール・メンドンサ・フィリオが監督・脚本を手掛け、ワグネル・モウラらと共演したブラジル・フランス合作映画であり、ブラジル軍事政権末期のレシフェを舞台にしている。この映画は第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、メンドンサ・フィリオ監督が監督賞を、ワグネル・モウラが男優賞をそれぞれ受賞した実績を持つ。
『The Secret Agent』は、ブラジルの政治的混乱の中で安全な避難所を求める教師の物語を描いており、キアの出演は国際的な注目を集めた。彼の恐れを知らない演技と、映画界への独自の貢献は、国際映画における真に独創的な人物としての彼の遺産を確固たるものにするだろう。彼の遺した作品群は、俳優が芸術的誠実さを保ちながらメインストリームで影響力を持ち続ける可能性を示唆している。



