
テストステップ
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テストステップ
強直性脊椎炎(AS)は、仙腸関節や脊椎の靭帯付着部に炎症を来す慢性進行性のリウマチ性疾患であり、若年層での発症が多く、患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる。この疾患の管理においては、治療方針の決定と効果の客観的評価のために複数の指標が用いられており、特にASDAS、BASFI、BASMIは臨床現場で不可欠なツールとして活用されている。順天堂大学名誉教授の小林茂人氏らが監修する情報においても、これらの指標の活用が示唆されている。
疾患活動性を定量化する主要な指標の一つがASDAS(Ankylosing Spondylitis Disease Activity Score)である。ASDASは、C反応性タンパク(CRP)や赤血球沈降速度(ESR)といった炎症マーカーの血液検査値と、患者報告による痛みや朝のこわばりの持続時間などの症状を組み合わせた計算式により算出され、病気の勢いを数値化する。このスコアの変動を前回の値と比較することで、臨床的に重要な改善(Δ≧1.1)や大幅な改善(Δ≧2.0)の有無が判断され、治療効果の客観的な評価に直結する。
一方、BASFI(Bath Ankylosing Spondylitis Functional Index)は、日常生活の動作に関わる機能障害の程度を評価する指標であり、10項目のNRS(numerical rating scale)評価の平均点として算出される。この指標は、患者が日々の生活で受ける支障を具体的に示すため、単なる炎症抑制だけでなく、身体機能の改善を重視する「Treat to Target(T2T)」の治療目標設定と深く関連する。
さらに、脊椎の可動性を評価するスケールとしてBASMI(Bath Ankylosing Spondylitis Metrology Index)が存在する。BASMIは、耳珠-壁距離、腰椎前屈(Schober試験)、頸椎旋回、腰椎側屈、内顆間距離の全5項目の計測指標の合計点で評価され、脊椎の柔軟性の変化を捉える。BASMIスコアが5以上の場合、指定難病の重症例の対象となる可能性があり、治療介入の必要性を示す重要な指標となる。
これらの指標は、強直性脊椎炎の治療戦略に多角的な視点を提供する。例えば、ある臨床試験では、サリドマイドがサラゾスルファピリジンと比較して、機能指標であるBASFIを有意に改善させたことが示されている。また、セクキヌマブの臨床試験においても、BASFIスコアやBASMIスコアの変化量がプラセボ群と比較して有意な改善を示したことが報告されており、これらの指標が治療薬の有効性を裏付ける副次的評価項目として機能していることが確認されている。
強直性脊椎炎の治療目標は、症状と炎症の制御、構造的破壊の予防、機能と社会参加の維持・正常化を通じて、健康に関連したQOLを最大化することに置かれている。したがって、ASDASで活動性を、BASFIで日常生活への影響を、BASMIで脊椎の柔軟性を継続的にモニタリングすることは、若年発症者が多いこの疾患において、長期的な予後と生活の質を維持・向上させるための集学的管理の根幹を成す。診断の遅れが平均9.3年を要する現状において、これらの評価指標の適切な活用は、早期診断・早期治療開始の糸口としても極めて重要である。