ヴィジェイ・デーヴァラコンダ主演、ガウタム・ティンナンヌリ監督によるスパイアクションドラマ『キングダム』が7月31日に公開され、初日興行収入約1億5500万円という好調なスタートを切りました。しかし、観客からはストーリー展開やペース配分に対する賛否両論の声が寄せられています。
デーヴァラコンダの熱演と迫力あるアクションシーンは高く評価されているものの、一部では予測可能なストーリー展開やテンポの悪さが指摘されています。批評家からも、デーヴァラコンダの演技はキャリア最高との評価がある一方で、脚本の遅さや後半の展開のありきたりさを指摘する声もありました。本作は、制作上の問題や外部要因により、当初予定されていた公開が何度か延期されていました。
当初から二部作として計画されていた『キングダム』は、今後の興行収入が作品全体の成功に大きく影響します。初日の興行収入は、デーヴァラコンダの前作『ライガー』にはわずかに届きませんでしたが、『クシ』の記録を上回るものでした。特にテルグ語圏での観客動員率は高く、幸先の良いスタートを切ったと言えます。
アニルルド・ラヴィチャンダルが手掛けた音楽は批評家や観客から好評を得ており、映画に深みを与えています。この音楽制作の遅延が公開延期の一因であったとも報じられています。物語は兄弟の絆を中心に、愛国心や部族のリーダーシップといったテーマも織り交ぜており、第一部では物語に区切りをつけつつも、続編への含みを持たせる構成となっています。ガウタム監督の丁寧な仕事ぶりは、アクションシーンにも感情的な深みをもたらしています。
映画全体の評価は分かれており、「一度見れば十分」といった意見や、ストーリーの独創性の欠如を指摘する声もありますが、デーヴァラコンダの献身的な演技と作品に込められたビジョンは多くの観客に感銘を与えています。製作費約1億3000万円の本作は、公開から25日間で全世界興行収入約8億2560万円を記録し、興行的には苦戦を強いられました。しかし、海外市場ではコロナ禍以降で最高の興行収入を記録し、俳優としての新たな可能性を示しました。
現在、『キングダム』は8月27日よりNetflixでの配信が開始されており、劇場で鑑賞できなかった人々にも作品に触れる機会が提供されています。この作品が、多様な視点と深いエンターテイメント体験を提供する機会となることが期待されます。