韓国元首相と元大統領夫人、戒厳令宣言に関連し起訴

編集者: Dmitry Drozd

2025年8月、韓国の特別検察官は、前首相の韓悳洙(ハン・ドクス)氏と、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の夫人である金建希(キム・コンヒ)氏を、それぞれ別件で起訴しました。これらの起訴は、2024年12月に発生した尹前大統領による戒厳令宣言とその後の政治的混乱に関連する捜査の一環です。

韓悳洙氏は、反乱幇助、偽証、公文書偽造などの罪で在宅起訴されました。検察は、韓氏が当時の大統領による戒厳令布告を阻止し得た最高位の公務員であったにもかかわらず、その試みを阻止せず、むしろ閣議招集を提案するなどして手続き上の正当性を与えようとしたと主張しています。これは、戒厳令が違憲状態にあったにもかかわらず、それを防げなかったという見方に基づいています。韓氏は、尹前大統領に戒厳令計画に反対したと主張していますが、検察は彼が戒厳令の正当性を確保するために積極的に協力したと批判しています。

一方、金建希氏は、贈賄や株価操作、政治資金法違反などの容疑で起訴されました。彼女は、旧統一教会の元幹部から高級ブランド品を受け取ったとされる贈賄容疑や、2009年から2012年にかけてのドイツ・モーターズ社の株価操作への関与が捜査されています。金氏は、韓国史上初めて逮捕された状態で起訴された元大統領夫人となりました。尹氏と金氏夫妻は、同時に刑事裁判にかけられる最初の元大統領夫妻でもあります。

この一連の出来事は、2024年12月3日に尹前大統領が野党が支配する国会を無力化しようとして宣言した、44年ぶりの非常戒厳令に端を発しています。この戒厳令はわずか数時間で国会によって解除が要求され、尹大統領はそれを受け入れました。しかし、この行動は憲法違反とみなされ、尹大統領は2024年12月14日に国会で弾劾訴追され、2025年4月4日には憲法裁判所によって罷免されました。韓悳洙氏は尹氏罷免後の暫定大統領を務めましたが、その後、2025年5月に自身の弾劾訴追(後に憲法裁判所によって覆され、その後辞任)を経て、政治的な混乱が続きました。

この政治的危機は、韓国の民主主義におけるチェック・アンド・バランスの機能と、権力に対する説明責任の重要性を示しています。尹氏の罷免とそれに続く選挙は、国の民主的制度が試練に直面しながらも、最終的には国民の意思と法的手続きを通じて安定を取り戻す過程を浮き彫りにしました。2025年6月3日に行われた大統領選挙では、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)氏が当選し、新たな政権が発足しました。これらの出来事は、韓国社会における政治的緊張と、それを乗り越えようとする民主主義の回復力を同時に示しています。

ソース元

  • Al Jazeera Online

  • Reuters

  • Associated Press

  • Reuters

  • Wikipedia

  • DW

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