2025年7月1日、国際建築家の日を記念し、出版社「Lapas」より新刊『ヨナス・ムロカス:グローバル世界における建築的アイデンティティ』が出版されました。この書籍は、リトアニア国外で活躍した著名な建築家ヨナス・ムロカス氏の業績と、ディアスポラにおけるリトアニア建築の保存に焦点を当てています。本書は、理論と普及の分野で、リトアニア建築賞へのノミネートも果たしています。
本書は、建築史家のヴァイダス・ペトリュリス氏、歴史家のブリギタ・トラナビチューテ氏、そして建築家パウリウス・タウトヴィダス・ラウリナイティス氏の共著です。ペトリュリス氏は、ムロカス氏がリトアニア建築史において重要な人物であり、独立回復に貢献し、戦間期の建築様式をディアスポラの中で守り抜いたと強調しています。研究にあたっては、サンタモニカで発見された膨大な図面を含む、様々な資料が収集されました。
ムロカス氏の建築は、リトアニア人コミュニティとの積極的な関わりによって特徴づけられています。彼は、ヴィタウタス・カジミエラス・ヨニュナス氏、ヴィタウタス・カシュバ氏、ブロネ・ヤメイキエネ氏といった芸術家たちと協働しました。本書はまた、グローバル化が進む世界の中で建築的アイデンティティを探求し、技術的なグローバル化と、地域性を追求する動きとの間の緊張関係を浮き彫りにしています。ペトリュリス氏は、ディアスポラ建築がリトアニアのアイデンティティを維持する上で重要な役割を果たしていると指摘しています。
なお、2025年のリトアニア建築賞は、国際建築家の日前日の6月30日に、パネヴェジスのユオザス・ミルティニス劇場にて授賞式が行われました。この賞は、リトアニアの都市と文化的なアイデンティティの形成に貢献した、最も重要な建築作品を表彰するものです。7月1日の新刊出版は、ムロカス氏の作品とそのリトアニア建築史における意義を理解する、絶好の機会となるでしょう。