中国の王毅外相による、東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力重視の発言は、歴史的・時系列的な視点から見ると、重要な意味を持ちます。これは、中国が国際的な舞台でその影響力を高め、多極化する世界秩序の中で、ASEANとの関係をどのように位置づけているかを示唆しています。
1990年代初頭から、中国とASEANの関係は徐々に深まりました。特に、2002年の中国・ASEAN自由貿易地域(CAFTA)の合意は、両者の経済的な結びつきを強化する重要な転換点となりました。この協定により、貿易と投資が促進され、中国とASEAN間の貿易額は飛躍的に増加しました 。2023年には、中国とASEANの貿易額は6.41兆ドルに達し、ASEANは中国にとって最大の貿易相手国となりました。
さらに、中国はASEANとの間で、政治的、安全保障上の協力も深めています。南シナ海問題における対話や、テロ対策、インフラ整備など、様々な分野での連携が進んでいます。例えば、中国はASEAN加盟国へのインフラ投資を積極的に行っており、その総額は数十億ドルに上ります 。これらの動きは、中国が地域における安定と繁栄を重視し、多国間主義を推進する姿勢を示しています。
歴史を振り返ると、中国とASEANの関係は、相互の利益に基づき、着実に発展してきました。今後も、両者の協力は、地域のみならず、世界の安定と発展に貢献していくことが期待されます。