エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染と多発性硬化症(MS)の発症との関連性に関する画期的な研究が、科学界に大きな進歩をもたらしました。この研究により、EBV感染がMS発症の主要なリスク要因であることが確立され、この分野のリーダーであるアルベルト・アシェリオ博士(ハーバード公衆衛生大学院)とスティーブン・ハウザー博士(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)が、2025年の生命科学分野ブレークスルー賞を受賞しました。
この研究は、1000万人以上の米軍兵士の健康記録を分析した大規模調査に基づき、EBV感染者がMSを発症するリスクが32倍高いことを明らかにしました。また、神経変性のバイオマーカーである神経フィラメント軽鎖レベルがEBV感染後にのみ上昇することを確認し、EBVがMS発症の主要な引き金であるという強力な証拠を提供しました。アシェリオ博士の疫学的な洞察から始まったこの研究は、長年の研究と追跡調査を経て、EBVとMSの間の強力な関連性を確立しました。この成果はMSの理解と治療に革命をもたらし、EBVを標的としたワクチンの開発や抗ウイルス薬による治療法の研究が進められています。
ブレークスルー賞は、生命科学、基礎物理学、数学の分野で画期的な発見をした研究者に贈られる権威ある賞です。アシェリオ博士とハウザー博士は、MSの根本的な原因と生物学の解明に貢献したことでこの賞を受賞しました。この研究は、MSに苦しむ人々に将来的な予防および治療戦略への道を開くものであり、EBV感染がMS発症の主要な要因であるという科学的理解を深める重要な一歩となります。